買い物レシート金額が違う!

  本日午後3時半過ぎ、スーパーマーケットに買い物に行った。約3000円ほどの買い物を終え、レシートを確認すると、クリームシチュー(2個分)の金額が違っていた。1個127円の品が、203円とレジ打ちされていたのである。

 このスーパーは、店示金額は消費税抜きで、レシートは消費税込みの金額記載なので、少しの金額だとその違いは分かりにくく、確認しにくい。今回は、明らかにおかしいと気づく金額だったので、カウンターに行き、そこで清算してもらい、差額152円を返還してもらった。

 この点について、本月17日の「買い物レシートの金額記載について」と題するブログ記事に懸念を書いていたが、これが現実的なものになった。このスーパーでは初めてのことであった。

 先だっても、他のスーパーマーケットではあるが、3個分まとめて買うと多少安くなる品物について、そうでない1個づつ分の金額のレシート記載があったばかりである。

 このような買い物レシートの金額が違う事態は、そうそうあるわけでないので、店に抗議はしないものの、あまりいい気分はしない。

 それでは、少し大袈裟ではあるが、以上の余分なお金を、もし店側が受領した場合の法的な問題点は、何かを少し考えて見ることにする。

 考えられるのは、詐欺罪が成立するかである。

 詐欺罪とは、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」(刑法246条1項)というものである。その要件は、「❶欺罔(人を騙す行為)、❷錯誤(勘違い)、❸処分行為、❹財物の取得」であると言われている。

 本件について、購入客が店頭表示金額だと思ったのに、レシートにはそれよりも高い金額になっていたことに勘違いしているので、❷の要件はある。購入客が高い金額の金銭を出しているので❸の要件もある。さらに、レジの店員がそれを受け取っているので❹の要件もある。

 しかし、❶の要件につき、店側が購入客を騙す意思があったかどうかについては、検討の余地がある。

 通常は、レジ打ちミス、バーコードの読み取りミス、レジのシステムミスや店示品価格とバーコード価格の人的ミスによる不一致であろう。この場合、「過失」(うっかりミス)はあるものの、「故意」(騙す意思)がない。そうすると、詐欺罪に過失を処罰する規定がないので、犯罪は成立しない。

 ほとんど考えにくいけれど、店示品価格とバーコード入力価格を、店側が意図的に違えた場合である。この場合は❶の要件が認められ、❶~❹のすべての要件が充たされることになるので、詐欺罪が成立する。しかし、立証は、ほぼ不可能であろうから、犯罪の成立する余地はないといえるだろう。

 結局は購入客の自己責任ということになろうか。

 もし仮に詐欺罪が成立するとした場合、上記事例について、被害額は差額の152円だから、その金額が騙し取られた金額になるとの見解もあろう。しかし、クリームシチュー2個分の金額がレシート記載の金額なら購入しなかっただろうということから、差額ではなく、406円が被害額になるとする見解の方が妥当であろう。

 それでは、誰が犯罪者になるのか。この点につき、レジの店員は「道具」と同視し得るので、犯罪者足りえない。結局は、店示品価格とバーコード入力価格を意図的に違えた店員。もしそれを指示した者(上司等)がいれば、彼らが共犯となり得るだろう。